NVIDIA H200とは?NVIDIA H100との違いや最新GPUの導入で得られるメリット【トゥモロー・ネット テックブログ】

現代のAIやデータ解析において、計算能力の限界がビジネスの成長を妨げる大きな課題となっています。課題に対処しなければ、競争に遅れをとり、市場での優位性を失う危険性が高まるでしょう。
そこで本記事では、計算能力の向上に効果が高い最新のNVIDIA H200 GPUの基本スペックや特徴を解説します。

目次
NVIDIA H200とは?基本スペックと特徴
ここでは、NVIDIA H200の基本スペックと特徴について詳しく解説していきます。
NVIDIA H200の概要
NVIDIA H200は、AI推論やデータ解析の高度なニーズに対応するために設計されたGPUで、従来の製品に比べて飛躍的な性能向上を実現しています。
具体的には、CUDAコアの数が大幅に増加し、メモリ帯域幅も大きく拡張されているため、複雑な計算処理を短時間で完了することが可能です。これにより、リアルタイムでのデータ処理や、高度なAIモデルのトレーニングがより効率的に行えます。
NVIDIA H200 NVLとの違い
NVIDIA H200は、単体で高性能なAI推論やデータ解析を実現するGPUで、従来に比べて処理速度やメモリ帯域幅が大幅に向上しています。リアルタイム処理や高度なAIモデルの運用にも適しており、単体利用での高効率な演算処理が可能です。
一方、NVIDIA H200 NVLは、H200を最大4基までNVIDIA NVLink™で高速接続した高密度構成のモデルです。空冷式エンタープライズラック向けに最適化された省電力設計を採用し、あらゆる規模のAIおよびHPC処理に対応します。1.5倍のメモリ容量とGPU間の高速連携により、大規模言語モデル(LLM)の推論ではH100 NVL比で最大1.7倍、HPC処理では最大1.3倍の性能向上を実現します。
H200のスペック
| フォーム ファクター | H200 SXM¹ | H200 NVL¹ |
| FP64 | 34 TFLOPS | 34 TFLOPS |
|---|---|---|
| FP64 Tensor コア | 67 TFLOPS | 67 TFLOPS |
| FP32 | 67 TFLOPS | 67 TFLOPS |
| TF32 Tensor コア | 989 TFLOPS² | 989 TFLOPS² |
| FP16 Tensor コア | 1,979 TFLOPS² | 1,979 TFLOPS² |
| FP8 Tensor コア | 3,958 TFLOPS² | 3,958 TFLOPS² |
| INT8 Tensor コア | 3,958 TFLOPS² | 3,958 TFLOPS² |
| GPU メモリ | 141GB | 141GB |
| GPU メモリ帯域幅 | 4.8TB/秒 | 4.8TB/秒 |
| デコーダー | 7 NVDEC
7 JPEG |
7 NVDEC
7 JPEG |
| コンフィデンシャル
コンピューティング |
サポート対象 | サポート対象 |
| 最大熱設計電力 (TDP) | 最大700W(構成可能) | 最大600W(構成可能) |
| マルチインスタンス GPU | 各18GBで最大7個のMIG | 各18GBで最大7個のMIG |
| フォーム ファクター | SXM | PCIe |
| 相互接続 | NVLink: 900GB/秒
PCIe Gen5: 128GB/秒 |
2ウェイまたは4ウェイの
NVIDIA NVLink ブリッジ: 900GB/秒 PCIe Gen5: 128GB/秒 |
| サーバー オプション | GPUを4基または8基搭載のNVIDIA HGX H100 Partner および NVIDIA-Certified Systems™ | GPUを4基または8基搭載のNVIDIA HGX H200 パートナー製品および NVIDIA-Certified Systems™ |
| NVIDIA AI Enterprise | アドオン | 同梱 |
2.疎性あり
NVIDIA H100との違い
NVIDIA H200は、前世代のNVIDIA H100と比較して複数の重要な改善点があります。まず、NVIDIA H200は演算能力がさらに向上しており、AI推論やトレーニングにおいて、より多くのデータをより速く処理することが可能です。
これにより、AIモデルの学習時間が短縮され、結果としてプロジェクトのリードタイムを大幅に削減できます。また、NVIDIA H200はエネルギー効率が大幅に改善されており、同じ消費電力でより高いパフォーマンスを実現しています。このことは、データセンターの運用コスト削減にも貢献し、長期的な運用効率を高める要因です。
画像引用:次世代 GPU: NVIDIA H200 で AI 性能向上 | NVIDIA
さらに、NVIDIA H200は新しいアーキテクチャと技術を採用しており、より多様なワークロードに柔軟に対応できる点でも優れています。これにより、将来的な拡張性や多様なニーズに応える能力が向上し、NVIDIA H100以上に今後のAIやデータ解析の分野での活躍が期待されています。企業はNVIDIA H200を導入することでパフォーマンス向上を達成し、市場での競争力を強化することが可能です。
NVIDIA H200の消費電力とパフォーマンス効率
NVIDIA H200は、前世代のGPUと比較して、消費電力が大幅に改善されています。これにより、効率が飛躍的に向上し、同じエネルギーコストでより多くの計算処理が可能になりました。
効率性は、データセンターにおいて重要です。データセンターは常に高い性能を求められますが、同時に電力消費を抑え、コストを削減することも求められます。NVIDIA H200はこの両立を実現しており、長期的な運用においても高いパフォーマンスを維持しながら、エネルギーコストの削減を図ることが可能です。そのため、エネルギー効率を重視する企業にとって、NVIDIA H200は優れた選択肢となります。
画像引用:次世代 GPU: NVIDIA H200 で AI 性能向上 | NVIDIA
NVIDIA H200とNVIDIA H100の徹底比較:どちらを選ぶべきか?
NVIDIA H200とNVIDIA H100は、どちらも高性能GPUとして市場で注目を集めていますが、それぞれ異なる用途やパフォーマンス特性を持っています。ここでは違いを詳しく比較し、どちらを選ぶべきかについて解説します。
パフォーマンスと用途別の選択基準
NVIDIA H200は、AI推論や科学計算のような高負荷の作業に最適化されています。NVIDIA H200の強化されたCUDAコアとメモリ帯域幅は、複雑なアルゴリズムやデータセットを迅速に処理する能力を提供します。
これにより、リアルタイムでのデータ解析や大規模なAIモデルのトレーニングが求められるシナリオにおいて、NVIDIA H200は優れた選択肢です。一方で、NVIDIA H100も多くのタスクで高いパフォーマンスを発揮します。
特に、一般的なデータセンターのワークロードや、比較的負荷の軽いAIタスクでは、NVIDIA H100でも十分な処理能力を提供します。つまり、現在のニーズに対してどちらのGPUが最も効率的であるかを判断することが選択のポイントです。
長期的な投資としてのNVIDIA H200の価値
長期的な視点で見ると、NVIDIA H200は将来的なスケーラビリティやコスト削減の観点から、有利な選択肢となります。NVIDIA H200は新しいアーキテクチャを採用しており、将来の技術進化にも対応できる柔軟性を備えています。
このため、今後のAI技術の進化やデータ量の増加に伴う負荷の増大にも耐えうるパフォーマンスを発揮し続けることが期待できるでしょう。一方、NVIDIA H100も競争力のある選択肢ですが、長期的な成長を見据えた場合、より高いパフォーマンスとエネルギー効率を持つNVIDIA H200の方がコストパフォーマンスが高いと考えられます。企業が将来にわたって競争力を維持し続けるためには、NVIDIA H200の導入を検討することもよいでしょう。
NVIDIA H200の導入で得られるビジネスメリット

NVIDIA H200の導入により、企業はAIトレーニングや高性能計算(HPC)にて大きな成果を上げることが期待できます。以下では、特徴やNVIDIA H100との併用によるシステム最適化について詳しく解説します。
NVIDIA H200の特徴
NVIDIA H200は、NVIDIAの最新技術を駆使したプラットフォームで、AIトレーニングやHPC(高性能計算)において高いパフォーマンスを発揮します。特長としては、強力なCUDAコア数とメモリ帯域幅の向上により、複雑で大規模なデータセットを効率的に処理できる点です。これにより、AIモデルのトレーニング時間が短縮され、結果として企業の研究開発サイクルが加速します。
NVIDIA H100との併用によるシステムの最適化
クラスタ管理ツールや仮想化技術を活用することで、NVIDIA H200をAIトレーニングや高度な計算処理に、NVIDIA H100を推論タスクや軽量な処理に割り当てる方法が有効です。また、NVIDIAのvGPU技術を活用すれば、NVIDIA H200とNVIDIA H100のリソースを柔軟に分割し、複数のタスクを同時に処理することが可能です。
さらに、分散学習を行う際には、NVIDIA H200とNVIDIA H100を異なるノードに配置し、それぞれの強みを活かしたタスク分散を行うことで、全体の処理速度を向上させることができます。このように、NVIDIA H200とNVIDIA H100を併用することで、各GPUの性能を最大限に引き出しつつ、システム全体の効率を高めることが可能です。
H200を導入する際に検討すべきポイント
NVIDIA H200を導入する際には、その性能を最大限に活かすためにいくつかの注意点や課題を事前に把握しておくことが重要です。特に導入コストやインフラ要件、さらにはソフトウェアやサポート体制との互換性は、運用段階での大きなリスク回避につながります。以下では主な検討ポイントを解説します。
初期導入コストおよび総所有コスト(TCO)
H200は高性能GPUであるため、単体の価格が高額になるケースが多く見られます。さらに、導入にあたっては電源設備や冷却装置、ラックスペースなどのインフラ面で追加投資が必要になることもあります。また、GPUドライバや関連するミドルウェアが最新のH200に対応しているかどうかも事前に確認しておく必要があります。こうした要素を踏まえ、初期費用だけでなく総所有コスト(TCO)の観点から投資対効果を検討することが欠かせません。
電力・冷却・インフラ要件
H200は高い計算能力を発揮する分、消費電力や発熱量も大きくなります。そのため、高出力に対応できる電源設備や、空冷あるいは液冷といった十分な冷却システムの導入が不可欠です。特にデータセンター以外の環境に設置する場合には、ノイズや発熱の影響を最小限に抑えるための追加対策が求められるでしょう。
互換性・サポート体制
H200を効果的に利用するには、TensorFlowやPyTorchなどの主要な機械学習フレームワークが、H200特有の新機能(低精度演算や疎性サポートなど)に対応しているかを確認することが重要です。また、メーカー保証の内容やサポート期間、修理体制といったアフターサービスの有無も、長期的な運用においては大きな安心材料となります。導入後の安定稼働を見据え、互換性と保守体制を事前に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
本記事では、NVIDIA H200とNVIDIA H100の違いや、それぞれのGPUがもたらすメリットについて詳しく解説しました。NVIDIA H200は、特に高負荷なAIトレーニングや科学計算に最適であり、将来的な拡張性を考慮した長期的な投資としても優れた選択肢です。
一方、NVIDIA H100は依然として多くのタスクで高いパフォーマンスを発揮し、特定のワークロードでは有効です。企業が自社のニーズに最適なGPUを選択することで、競争力を維持し、さらなるビジネスの成長を実現できるでしょう。
トゥモロー・ネットではNVIDIAのパートナー企業として、 NVIDIA H200の販売、導入支援を行っています。要望に応じたGPUの検討から導入後のサポートまで一気通貫でご支援していますので、AI開発環境の構築や、GPUに関するお困りのことがありましたらお気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人

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