ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)とは?主要4製品を比較【トゥモロー・ネット 技術ブログ】

目次
はじめに
当社ではストレージサーバ製品として、さまざまなソフトウェアデファインドストレージ(SDS*)製品を取り扱っています。
本記事では、SDSの基本から主要製品の特長を比較し、用途に応じた選び方をわかりやすく解説します。
*SDSとは、ストレージの制御・管理機能をソフトウェアで抽象化し、物理的なハードウェアから切り離すことで、柔軟で効率的・スケーラブルなストレージ環境を実現するアーキテクチャを有する製品カテゴリです。
従来型ストレージ製品と比べると以下のような違いが、一般的にはあると考えられます。
| 比較項目 | 従来型ストレージ(専用機器) | ソフトウェアデファインドストレージ |
| ハードウェア | 専用機器が必要 | 汎用x86サーバで動作可能 |
| 制御機能 | ハードウェアに組み込み | ソフトウェアで独立して提供 |
| スケール方法 | 専用機器の追加・交換 | ソフトウェアの設定変更で柔軟に拡張 |
| ベンダー依存 | 特定ベンダーに強く依存 | ハードウェアを選ばず導入可能 |
| コスト | 高い(専用HW費用) | 低減可能(汎用HW活用) |
| 管理方法 | 機器ごとに個別管理 | ソフトウェアで一元的な管理 |
SDSの仕組みと主な特徴 | 従来ストレージとの違い
- ハードウェアとソフトウェアの分離: ストレージの制御・管理・ポリシーをハードウェアから切り離すことで、汎用的なハードウェアを選択することが可能となります。
- 抽象化 :複数の物理ストレージ装置を束ねて、利用者には単一の論理的(仮想的)なストレージプールとして見せることが可能です。
- 自動化・ポリシーベース管理 :データの配置・移動・保護・階層化などをポリシー(ルール)設定に基づいて、ソフトウェアが自動的に制御します。
AI・クラウド・ビッグデータを活用することが当然となりつつある現在、膨大なデータを効率的・経済的に扱うためのストレージ基盤として、エンタープライズ市場での潜在ニーズが急速に拡大しています。
以下では、当社で取り扱っているSDS製品の中から、4つの主要製品をご紹介します。
Qumulo|スケールアウト型分散ファイルシステムの代表的SDS
大規模な非構造化データ(画像・動画・研究データなど)を高速かつ柔軟に扱える “スケールアウト型分散ファイルシステム” を提供する米国企業の製品です。
クラウド・オンプレミス・ハイブリッド構成に強いファイルデータ基盤として利用されています。
特に HPC(高度計算)、医療画像、動画制作、研究開発など、大容量ファイルを扱う分野で採用されています。
製品・技術の主な特長
- スケーラビリティとパフォーマンス
容量を追加するたびにパフォーマンスとスループットが同時に向上するリニアスケーリングを実現しており、ファイル数が多くても性能劣化することがありません。 - ハイブリッド・マルチクラウド対応
「Cloud Data Fabric」という概念を掲げ、データセンター、エッジ、パブリッククラウドにわたる統一されたグローバルファイルシステムを提供し、プロトコルやトランスポートの制約を超えたデータ活用を可能にします。さらに、クラウドとエッジを同期する「Coherent Edge Cache」 で、世界中から同一データに即時アクセス可能な仕組みを強化しています。 - リアルタイム分析と可視性
ツリーウォークやインデックス作成なしに、クライアントのデータ利用状況や変化をリアルタイムで把握できる分析機能を内蔵しています。
Qumulo製品詳細はこちら:https://www.tomorrow-net.co.jp/product/qumulo-solution/
Hammerspace|データ統合に強いグローバルファイルシステム
「非構造化データを世界中どこでも同じように使えるようにする “Global Data Environment(グローバル・データ環境)”」 を提供することを使命として、データサイロ(オンプレ・複数クラウド・拠点間の分断)を解消することに特化した製品開発を行っている米国企業の製品です。
AI・ハイブリッドクラウド・地理的に分散したクリエイティブ制作など、大容量ファイルを扱う領域で急速に支持を伸ばしています。Meta社や米国国防総省などで採用されています。
製品・技術の主な特長
- グローバルデータ環境(Global Data Environment)
従来の「コピーを移動してデータを揃える」という方式とは異なり、“データを移動せず、メタデータを統合して仮想的に一つに見せる”というアプローチが最大の特長です。
Global Namespace(グローバル名前空間)で全データを一元化することで、オンプレ、複数クラウド、異なるベンダーのストレージに分散したデータを1つの巨大なNASのように見せる統合ファイルシステムを提供します。
NFS・SMB・S3など複数のプロトコルをまたぐ統合ネームスペースにより、分散した非構造化データへのシームレスなアクセスを実現します。データをその場で統合し、コピーや移行なしにAIやHPCアプリケーションへ即時に提供できます(メタデータレイヤーで抽象化して、1つのファイルをあらゆる場所から同じように参照)。 - Tier 0 ストレージ(GPU直結NVMe)
GPUに接続されたNVMeを使った超低レイテンシな共有ストレージ層「Tier 0」により、AIワークロードへの高速データ供給を実現します。 - データオーケストレーション
メタデータ駆動のルール(オブジェクティブ)によって、データ保護、データ配備の最適化、アクセス制御、バースト to クラウド(必要な時だけクラウドに逃がす)のようなデータ処理を自動化できます。
Hammerspace製品詳細はこちら:https://www.tomorrow-net.co.jp/product/hammerspace-data-platform/
WEKA|AI・HPC向け超高速分散ファイルシステム
AI/ML、HPC、ビッグデータ処理向けに最適化された “超高速並列ファイルシステム WekaFS” を提供する米国企業の製品です。
WekaFS は、GPUコンピューティングや NVMe/フラッシュの性能を最大限引き出すために、ゼロから設計された高性能分散ファイルシステムです。
製品・技術の主な特長
- WekaFS — コア並列ファイルシステム
WEKAデータプラットフォームの基盤となるWekaFSは、データレイク全体を共有グローバルネームスペースに統合し、1つのディレクトリから何兆ものファイルへのアクセス・管理を可能にします。チューニング不要で、オンプレミス・クラウドを問わずシームレスに動作します。 - 世界最速クラスのファイルシステム性能
WekaFSは、並列・分散ファイルシステムであり、オールNVMe構成によるストレージ構成、RDMA/Infiniband/100GbEなどの高速ネットワークとの連携、GPU Direct Storage対応など、今日的な高速化技術に対応した製品です。 - スケールアウトと柔軟な構成(オンプレ・クラウド・HCI対応)
WekaFS は次のような柔軟な配備ができます。
・専用ストレージノード構成(Wekaクラスタ)
・ハイパーコンバージド構成(GPUサーバの内蔵NVMeをデータストレージとして利用, NeuralMesh AXONという製品で対応(推奨構成は128ノード以上))
・クラウドネイティブ(AWS・Azure・GCP・OCIでの配備)
WEKA製品詳細はこちら:https://www.tomorrow-net.co.jp/product/weka-data-platform-2/
QuantaStor|低コストで構築可能な統合ストレージSDS
標準的なx86サーバを使って、堅牢で拡張性の高いストレージ基盤を簡単に構築できるようにすることを目標に、エンタープライズ向けのSDSを開発する米国企業の製品です。
フォーチュン500企業・政府機関・主要研究機関に採用されており、バックアップ・アーカイブ・仮想化・高性能アプリケーションまで幅広いストレージユースケースに対応しています。
低コストで柔軟なストレージ環境を構築することができます。
製品・技術の主な特長
- 統合ストレージプラットフォーム(ファイル・ブロック・オブジェクト)
ファイル / ブロック / オブジェクトストレージを単一システムで管理できるのが最大の特長です。
・ファイル:NFS, SMB
・ブロック:iSCSI, ファイバーチャネル
・オブジェクト:S3互換ストレージ - CephおよびZFSベースのオープンストレージ技術を統合
QuantaStor は内部に スケールアウトCeph と スケールアップ ZFS の技術を統合しており、両方を1つのプラットフォームで提供可能です。
・Cephによるスケールアウト構成
・ZFSによるスケールアップ構成
・両方の構成を一元的に管理機能
これらにより、標準ハードウェア上でエンタープライズ品質のストレージを構築できます。
OSNEXUS社は、GPU/AI特化というよりも企業向け全般・政府・研究機関などの幅広い業種向けのコスト効率の高い汎用SDS製品として、オープンストレージ技術(Ceph, ZFS)をベースにした安定性と運用管理の簡便さを強みとしています。
QuantaStor製品詳細はこちら:https://www.tomorrow-net.co.jp/product/osnexus-quantastor/
まとめ
今回は、4つの製品の特長を概観しました。SDS製品は同じカテゴリでも、その特長(設計思想や目指す方向性)の違いをご理解いただけましたでしょうか。
最後に、どのような選択基準で製品選定をいただけるか、簡単なスペック情報を一覧にまとめさせていただきました。最終的にはどのような機能を必要とするのか、また、コスト的な感覚を合わせて、記載させてしていますので、今後の製品選定でご利用いただければと思います。
選択のポイント
- Qumulo:単一FSで大規模共有+クラウド連携
- Hammerspace:既存ストレージを活かしたグローバル統合に最適、GPUサーバ内蔵NVMe活用(Tier0)
- WEKA:AI/HPCなど超高速ワークロードに特化
- QuantaStor:ファイル・ブロック・オブジェクトを一元管理、 OSSを活かした導入コスト最適化
| 観点 | Qumulo | Hammerspace | Weka | QuantaStor |
| コア技術 | 高性能スケールアウトNAS(クラウド連携, Cloud Data Fabric) | メタデータ駆動のグローバルファイルシステム(データを動かさない仮想統合) | NVMe最適化の超高速分散ファイルシステム | Ceph+ZFS統合のSDS,ファイル/ブロック/オブジェクト統合 |
| 対応NW | Ethernet | IB*/Ethernet (Anvil接続はEthernetのみ) | IB/Ethernet | Ethernet |
| 初期導入規模 | 〇 最小4, 推奨6以上 | ◎Anvilは2(HA)以上、DSXは容量に応じて。 | △ 最小6, 推奨8以上 | 〇 Cephの最小は4, 推奨6以上。ZFSは2ノードHA構成。 |
| 価格感 | 〇 中価格帯(エンタープライズNAS) 星2~3つ | 〇 中~高価格帯(データ統合プラットフォーム) 星3つ | 高価格帯(AI/HPC向けハイエンド) 星4つ | 低~中価格帯(OSS活用) 星2~3つ(最安) |
| 主な利用用途 | M&E, ヘルスケア, HPC, ハイブリッドクラウド | 複数サイトに分散したデータ統合、AI用途で大規模データを一元管理 | AI/ML, HPC, EDA | ファイル・ブロック・オブジェクト統合, アーカイブ, コスト重視での統合ストレージ |
| ハードウェア選定 | アプライアンス | アプライアンス | アプライアンス | 標準的なx86サーバとJBOD, JBOFで構成可能 |
| クラウド対応 | AWS/Azure/GCP/OCI (ハイブリッド志向) | AWS/Azure (マルチクラウド志向) | AWS/Azure/GCP (クラウドバースト志向) | IBM Cloud |
トゥモロー・ネットでは、今回紹介した製品の導入構築も行っております。
ご興味がある製品がございましたら、ぜひお問い合わせください。
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この記事を書いた人

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