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NVIDIA GPUの水冷システムとは?搭載製品とメリットを紹介【トゥモロー・ネット テックブログ】

NVIDIA GPUの水冷システムは、最新の高性能GPUを効率的に冷却し、最大のパフォーマンスを引き出すための重要な技術です。近年のGPUは、膨大な演算能力を持つ一方で、性能を活かすためには適切な温度管理が不可欠です。

水冷システムは、従来の空冷方式では対処しきれない熱を効果的に除去し、GPUの安定した動作と長寿命を支えます。本記事では、NVIDIA GPUにおける水冷システムの基本的な仕組みから、導入が求められる理由、さらには具体的な搭載製品までを詳しく解説します。

NVIDIA GPUにおける水冷システムの概要

NVIDIA GPUにおける水冷システムは、最新の高性能GPUを効率的に冷却し、安定した動作を保つために重要です。ここでは、水冷システムの基本的な仕組みを解説し、NVIDIA GPUに水冷が求められる理由についても詳しく説明します。

水冷システムとは?基本的な仕組みを解説

水冷システムは、GPUが発生する熱を効率的に取り除くための冷却技術です。冷却液を用いてGPUの熱を吸収し、ラジエーターでその熱を放出することで、GPUの温度を適切に管理します。

水冷システムは、ポンプ、ラジエーター、冷却液などで構成され、冷却液がGPUを循環することで、従来の空冷方式よりも効果的に熱を除去します。これにより、高性能を要求されるNVIDIA GPUでも、負荷の高い作業中に安定した動作を維持することが可能です。

NVIDIA GPUに水冷が求められる理由

NVIDIAの最新GPUは、高度なパフォーマンスにより、動作中に大量の熱を発生させます。空冷システムでは熱を完全に除去することが難しく、高負荷の作業時にはパフォーマンスが低下するリスクがあります。そのため、水冷システムの導入が欠かせません。

水冷システムは、空冷よりも効率的に熱を処理できるため、GPUの性能を最大限に引き出すことができ、安定した動作を保証します。特に、長時間にわたって高い負荷がかかる作業やオーバークロックを行う際には、NVIDIA GPUに水冷が不可欠となります。

NVIDIA GPU水冷システムのメリット

NVIDIA GPUに水冷システムを導入することで、パフォーマンスや信頼性が大幅に向上します。ここでは、高性能GPUにおける温度管理の重要性、静音性と長寿命の向上、さらにオーバークロックの可能性を広げる点について詳しく解説します。

高性能GPUにおける温度管理の重要性

高性能GPUは、計算能力の高さゆえに、使用中に大量の熱を発生させます。熱を適切に管理しないと、システムのパフォーマンスが低下したり、最悪の場合、ハードウェアにダメージを与えることもあります。

水冷システムは、空冷に比べて熱を効率的に除去できるため、GPUが高負荷の作業を行う際でも、温度を適切に管理し、安定したパフォーマンスを維持することが可能です。これにより、GPUの寿命も延ばすことができます。

静音性と長寿命の向上

水冷システムは、空冷システムと比較して動作音が静かです。水冷が大きなファンを必要としないためであり、静音が求められる環境において効果的です。さらに、静音性だけでなく、GPU自体の寿命を延ばす効果も期待できます。水冷システムは効率的に熱を除去するため、過剰な熱による部品の劣化を防ぎ、長時間の使用でも安定した動作を提供します。

オーバークロックの可能性を広げる

オーバークロックは、GPUの性能を最大限に引き出すための方法ですが、強力な冷却が不可欠です。水冷システムは、オーバークロックによる発熱を効果的に管理し、リスクを最小限に抑えながら、パフォーマンスを向上させられます。

これにより、通常の使用時よりも高いクロック速度を安定して維持でき、特に高負荷な処理を行う場合に、最大限の性能を発揮させることが可能です。

NVIDIA GPU搭載製品を3つ紹介

それぞれのGPUは、異なる用途に最適化されており、特性を最大限に活かすために水冷システムが重要な役割を果たします。

ここでは、AIやHPC(高性能計算)に最適なH100、AIや機械学習向けのA100、そしてクリエイティブ用途に優れたRTX 6000 Ada / A6000を取り上げ、それぞれの特徴と水冷システムの利点について詳しく解説します。

NVIDIA H100 Tensor Core GPU

NVIDIA H100 Tensor Core GPUは、AIや高性能計算(HPC)向けに設計された最新のGPUであり、これまでのGPUと比べて飛躍的なパフォーマンス向上を実現しています。H100は、複雑な計算や膨大なデータ処理が必要なタスクに最適であり、高い処理能力を支えるために水冷システムの導入が進められています。

水冷システムによる効率的な熱管理により、H100は長時間にわたる高負荷の作業でも安定した動作を維持できます。データセンターやAI研究所など、常に最大限のパフォーマンスが求められる環境で価値を発揮するでしょう。

NVIDIA H100 Tensor Core GPUのスペック

フォーム ファクター H100 SXM H100 NVL¹ H100 NVL¹
FP64 34 teraFLOPS 26 teraFLOPS 68 teraFLOPs
FP64 Tensor コア 67 teraFLOPS 51 teraFLOPS 134 teraFLOPs
FP32 67 teraFLOPS 51 teraFLOPS 134 teraFLOPs
TF32 Tensor コア 989 teraFLOPS² 756 teraFLOPS² 1,979 teraFLOPs²
BFLOAT16 Tensor コア 1,979 teraFLOPS² 1,513 teraFLOPS² 3,958 teraFLOPs²
FP16 Tensor コア 1,979 TFLOPS² 1,513 teraFLOPS² 3,958 teraFLOPs²
FP8 Tensor コア 3,958 TFLOPS² 3,026 teraFLOPS² 7,916 teraFLOPs²
INT8 Tensor コア 3,958 TFLOPS² 3,026 TOPS² 7,916 TOPS²
GPU メモリ 80GB 80GB 188GB
GPU メモリ帯域幅 3.35TB/秒 2TB/秒 7.8TB/秒³
デコーダー 7 NVDEC
7 JPEG
7 NVDEC
7 JPEG
14 NVDEC
14 JPEG
最大熱設計電力 (TDP) 最大700W(構成可能) 300–350W(構成可能) 2x 350-400W(構成可能)
マルチインスタンス GPU 最大7個のMIG @10GB 各12GBの最大14のMIG
フォーム ファクター SXM PCIe
デュアルスロット空冷
2x PCIe
デュアルスロット空冷
相互接続 NVLink: 900GB/秒
PCIe Gen5: 128GB/秒
NVLINK: 600GB/秒
PCIe Gen5: 128GB/秒
NVLink: 600GB/秒
PCIe Gen5: 128GB/秒
サーバー オプション 4 または 16 GPU 搭載の NVIDIA HGX™ H100 パートナーおよび NVIDIA-Certified Systems™ 8 GPU 搭載の NVIDIA DGX™ H100 1~8 GPU 搭載のパートナーおよび NVIDIA Certified Systems™ 2-4 組のパートナーおよび
NVIDIA Certified Systems™
NVIDIA AI Enterprise アドオン 含む 含む
1.参考仕様。仕様は変更される場合があります。H100 NVL PCIe カード 2 枚と NVLink Bridge を組み合わせた場合の仕様です。
2.疎性あり
3.HBM 帯域幅の総計

NVIDIA A100 Tensor Core GPU

NVIDIA A100 Tensor Core GPUは、AI、機械学習、データ分析といった高度な計算を要するタスクに特化したGPUです。A100は、特にクラウド環境や大規模なデータセンターでの利用が想定されており、そこで求められるのは高いパフォーマンスと安定性です。

水冷システムは、A100が生成する大量の熱を効率的に除去し、システム全体の信頼性を向上させます。これにより、長時間にわたる高負荷な処理でも、A100は安定した動作を保ち、AIや機械学習にも活用が可能です。

NVIDIA A100 Tensor Core GPUのスペック

  A100 80GB PCIe A100 80GB SXM
FP64 9.7 TFLOPS
FP64 Tensor コア 19.5 TFLOPS
FP32 19.5 TFLOPS
Tensor Float 32 (TF32) 156 TFLOPS | 312 TFLOPS*
BFLOAT16 Tensor コア 312 TFLOPS | 624 TFLOPS*
FP16 Tensor コア 312 TFLOPS | 624 TFLOPS*
INT8 Tensor コア 624 TOPS | 1248 TOPS*
GPU メモリ 80GB HBM2e 80GB HBM2e
GPU メモリ帯域幅 1,935 GB/秒 2,039 GB/秒
最大熱設計電力 (TDP) 300W 400W ***
マルチインスタンス GPU 最大 7 基の MIGs @ 10GB 最大 7 基の MIGs @ 10GB
フォーム ファクター PCIe
デュアルスロット空冷または デュアルスロット液冷
SXM
相互接続 NVIDIA® NVLink® Bridge
ブリッジ 2 GPU 用: 600GB/秒 **
PCIe Gen4: 64GB/秒
NVLink: 600 GB/秒
PCIe Gen4: 64 GB/秒
サーバー オプション 1~8 GPU 搭載のパートナーおよび NVIDIA-Certified Systems™ NVIDIA HGX™ A100 – 4、8、16 GPU 搭載のパートナーおよび NVIDIA-Certified Systems 8 GPU 搭載の NVIDIA DGX™ A100
* 疎性あり
** HGX A100 サーバー ボードを経由した SXM4 GPU; NVLink ブリッジ経由の PCIe GPU (最大 2 基の GPU 向け)
*** 標準構成で TDP 400W。HGX A100-80GB のカスタム サーマル ソリューション (CTS) SKU は、最大 500W の TDP に対応可能です。

引用:NVIDIA A100 Tensor コア GPU

NVIDIA RTX 6000 Ada / A6000

NVIDIA RTX 6000 AdaとA6000は、クリエイティブの専門家向けに設計されたGPUで、特にグラフィックデザイン、3Dレンダリング、ビジュアルエフェクト制作などで優れたパフォーマンスを発揮します。

これらの作業は、長時間にわたる連続的な高負荷がかかるため、安定した冷却が不可欠です。水冷システムを搭載することで、RTX 6000 AdaとA6000は、静音性を保ちながら高いパフォーマンスを維持し、クリエイティブな作業を効率的にサポートします。

これにより、クリエイターは最大限のパフォーマンスを引き出しつつ、長時間の作業でもストレスなく作業を進めることが可能となります。

トゥモローネットのNVIDIA RTX 6000 Ada製品スペック

ここではトゥモローネットのNVIDIA RTX 6000 Ada製品スペックをご紹介します。

RTX 6000 Ada PCI
GPUメモリ 48GB GDDR6 メモリーインタフェース 384-bit
メモリー帯域幅 960 GB/s エラー訂正コード(ECC) Yes
NVIDIA Ada Lovelace アーキテクチャベースの CUDA コア数 18,176 NVIDIA 第4世代 Tensor
コア
568
NVIDIA 第3世代 RT コア 142 単精度演算性能 91.1 TFLOPS
RT コア性能 210.6 TFLOPS Tensor 性能 1457.0 TFLOPS
システムインタフェース PCIe 4.0 x16 消費電力 総ボードパワー: 300 W
サーマルソリューション アクティブ フォームファクター 4.4” H x 10.5” L, デュアルスロット, フルハイト
ディスプレイコネクター 4x DisplayPort 1.4a 最大同時ディスプレイ表示 4x 4096 x 2160 @ 120 Hz
4x 5120 x 2880 @ 60 Hz
2x 7680 x 4320 @ 60 Hz
電源コネクター 1x PCIe CEM5 16-pin エンコード/デコードエンジン 3x エンコード, 3x デコード (+AV1 エンコードとデコード)
NVIDIA NVLink No

まとめ

NVIDIA GPUにおける水冷システムは、最新の高性能GPUの性能を最大限に引き出し、安定した動作を維持するために重要です。高負荷の作業や長時間の稼働時において、効果的な温度管理、静音性、そしてオーバークロックの可能性を広げる点で、水冷システムは欠かせない技術です。

特に、AIやクリエイティブな分野で使用されるNVIDIAのH100、A100、RTX 6000 Ada / A6000といったGPU製品において、その恩恵が顕著に現れます。これらのメリットを最大限に活用し、業務の効率を向上させるために、適切な水冷システムの導入を検討する価値があります。

作業効率を大幅に向上させるためにも、適切な水冷システムの導入を検討してみてください。

トゥモロー・ネットではNVIDIA GPUの販売・導入支援を実施しています。導入するGPUの検討から導入後のサポートまで一気通貫でご支援していますので、お困りのことがありましたら是非お気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

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