VRAMとは?RAMとの違いから確認方法まで5分でわかる初心者向けガイド【トゥモロー・ネット テックブログ】

パソコンで高画質なゲームをプレイしたり、動画編集やAI開発を行ったりする際、「処理が重い」「画面がカクつく」といったトラブルを経験したことはありませんか?
それらの原因のひとつとして挙げられるのが、「VRAM(ビデオメモリ)」の容量不足です。VRAMはGPUが映像処理を行う際に必要不可欠なメモリであり、快適な作業環境の鍵を握っています。
本記事では、初心者の方でもわかりやすいように、VRAMの基本から確認方法、用途別の選び方まで詳しく解説していきます。

VRAMとは何か?初心者にもわかりやすく解説
VRAMとは、GPUに搭載されてる映像処理用のメモリです。
ここでは、VRAMの役割や種類、そしてRAMとの違いについて解説します。
VRAMの役割とは?GPUにおける映像・画像処理の専用メモリ
先に述べたように、VRAMはGPUが映像や画像をスムーズに処理するために使う専用メモリです。これにより、ゲームや動画編集、3D描写などで必要なデータを高速に読み込み、画面に遅延なく表示できます。
例えば、4K動画編集では高解像度のフレームを扱うため、VRAMが十分でないと処理が遅れたりカクついたりします。CPUとRAMがシステム全体の処理を担当するのに対し、GPUとVRAMは描画に特化している点が特徴です。映像処理における快適さは、このGPUとVRAMの性能に大きく左右されるといえるでしょう。
VRAMの種類|GDDR6やHBMなど最新規格もチェック
VRAMにはGDDR5やGDDR6、HBMなどの種類があり、用途に応じて選ばれます。GDDR6は高速で、ゲームや動画編集向けに主流となっています。対してHBMはAI開発やシミュレーションといった帯域重視の用途に最適です。
例えば、GDDR6は転送速度に優れる一方、HBMは省電力で大容量を実現します。GDDRはコストパフォーマンスに優れ、汎用性が高いのが特徴です。どの規格が適しているかは、処理するデータの量と種類に応じて見極めなければなりません。
RAMとの違いとは?用途・速度・接続先での違いを比較
RAMとVRAMはどちらも一時的にデータを保存するメモリですが、役割が異なります。RAMは主にCPUと連携してアプリやOSの動作を支え、VRAMはGPUと連携し映像や画像の描画を担当します。転送速度や接続方式も異なり、VRAMはより高速かつ専用設計です。
例えば、ゲームではVRAMが不足すると描写が乱れることがありますが、RAM不足ではアプリ全体の動作が重くなります。さらに、VRAMはグラフィックカードに内蔵されているため、後から増設できない点にも注意が必要です。用途ごとに必要なメモリ種別を理解することが、PC選びの重要なポイントとなります。
VRAMの容量はどれくらい必要?用途別の目安と選び方
VRAMでは、用途に応じて必要な容量が異なります。ここでは、用途別の目安と選び方を解説します。
動画編集・ゲーム・AI開発、それぞれに必要なVRAM容量
VRAMの必要量は用途によって大きく異なります。フルHDの動画編集や軽めのゲームであれば6〜8GBでも対応できますが、4K編集や重量級ゲームでは最低でも12GB、場合によっては16GB以上が求められます。
AI開発の場合はさらに高く、大規模モデルのトレーニングや推論には80GB以上が推奨されることもあるでしょう。
例えば、NVIDIAの「H200」は141GBのVRAMを搭載しており、生成AIやLLMの学習に活用されるケースが多いです。目的に合った容量を選ぶことで、無駄なコストを抑えつつパフォーマンスを確保できます。
VRAM不足で起こる症状|処理落ちや画面バグに注意
VRAMが不足すると、ソフトやゲームの動作にさまざまな不具合が発生します。例えば、画面の描画が乱れたり、フレームレートが極端に落ちたりするケースがあるでしょう。
AIの推論では、VRAMが足りないと一部の処理がCPUに移行し、応答速度が大幅に低下します。LLMの場合、レスポンスが通常の数倍遅くなることもあるため注意が必要です。トレーニングにおいては、メモリ不足が原因でバッチサイズを減らさざるを得ず、学習効率が落ちたり、最適な学習結果が得られなかったりすることもあります。
安定した処理には、余裕を持ったVRAM容量が不可欠です。
将来性も考えたGPU選び|長期運用視点での選定ポイント
GPU選びでは、現状の要件だけでなく、将来的な使用目的も視野に入れることが重要です。ソフトウェアのアップデートや新しい技術の登場により、求められるVRAM容量は年々増加しています。
例えば、今は8GBで足りる用途でも、数年後には同じ作業に12GB以上必要になる可能性があります。RTX 4070(12GB)やRTX 4080(16GB)など、余裕のあるモデルを選ぶことで、長期的に見たコストパフォーマンスが向上するでしょう。買い替えを頻繁に避けたい人にとって、少し上のスペックを選んでおくのは有効な判断材料になります。
自分のPCのVRAMを確認する方法【Windows/mac対応】
ここでは、自分のPCのVRAPを確認する方法について解説します。
WindowsでVRAM容量を確認する手順(設定画面・タスクマネージャー)
Windowsでは、標準の設定画面や「DirectX診断ツール(dxdiag)」を使って、GPUに割り当てられたVRAMの容量を簡単に確認できます。
具体的には、「設定」→「システム」→「ディスプレイ」→「詳細ディスプレイ設定」→「アダプターのプロパティ」の順に進むと、「専用ビデオメモリ」としてVRAMの数値が表示されます。
あるいは、Winキー+Rで「dxdiag」と入力して起動し、「ディスプレイ」タブの「Display Memory」で確認する方法もあるので覚えておきましょう。これらの手順は追加ソフトを使わず、ゲームやAI用途で必要なVRAMを事前にチェックするのに便利です。
MacでのVRAM確認方法|「このMacについて」から簡単チェック
Macでは「このMacについて」から数クリックでGPU情報を確認でき、モデルによってはVRAM容量も表示されます。
手順は「Appleメニュー」→「このMacについて」→「システムレポート」→「グラフィックス/ディスプレイ」へ進むだけです。ここで「VRAM(合計)」という項目に容量が記載されています。
ただし、Apple M1やM2などのAppleシリコン搭載Macでは、VRAMがCPUと共有される「統合メモリ」方式のため、明確な数値は表示されません。それでも、GPUの性能の目安にはなるため、動画編集や3D設計、AI開発でMacを使用する人にとって知っておくべき情報です。
VRAMが足りないときの対策|買い替え?クラウド?
VRAMが足りないと感じたら、物理的な増設ができるか、あるいはクラウドサービスを活用するかの2択になります。
デスクトップPCであれば、VRAM容量の多いグラフィックボードへ交換するのが効果的です。一方、ノートPCやAppleシリコンMacのようにGPUが固定されている場合は、Google CloudやAWS、NVIDIAのクラウドGPU環境を利用する方法があります。
これなら高性能なVRAMを一時的に借りられるため、AIの学習や高解像度の映像編集といった重い処理にも対応可能です。用途に応じて最適な方法を選ぶことが、作業効率を大きく左右します。
まとめ
VRAMの役割や容量の確認方法を正しく理解することは、快適なPC作業やAI処理の安定運用に不可欠です。用途に応じたGPU選びをすることで、パフォーマンスを最大限に引き出すことができます。特にAIや映像処理の分野では、インフラ全体の設計も重要です。
トゥモロー・ネットは、NVIDIAの最上位パートナー「Elite Partner」として、GPUを中心としたAIインフラの最適化に豊富な実績を持っています。AI基盤の構築やGPUサーバー選定、ネットワーク設計まで、専門的な視点から総合的なサポートを提供しています。
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この記事を書いた人

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