Windows Server 2025 の App-V 組み込みは、サポート終了にどう影響するのか?【トゥモロー・ネット テックブログ】

今回は、Microsoft のアプリケーション仮想化技術「App-V(Application Virtualization)」に関する重要なトピックを取り上げます。

先日、Microsoftは Windows Server 2025 の最初のプレビュー版をリリースしました。
このプレビュー版を実際にお試しいただく場合、PowerShell を開いてenable-Appv コマンドレットを実行すると、App-V クライアントは有効になりますが、警告メッセージが表示されます。

この警告メッセージには、App-V が 2026 年にサポート終了となり、新しい Windows OSでは利用できなくなることが明記されており、aka.ms/AppVDeprecation というリンクが表示されています。リンク先は、Microsoft Desktop Optimization Packの旧ランディングページ(英語)で、App-V の延長サポート終了日は「2026 年 4 月 14 日」とされています。

マイクロソフトによるApp-V の「延長サポート終了」スケジュール(ソースはこちら(英語))

App-V の「延長サポート終了」は何を意味するのか?

ここ数年、App-V の今後について様々な憶測が飛び交ってきました。Microsoftの勧告や声明は、App-V を最新の Windows OSに機能として含め、Windows Server 2025 プレビュー版に組み込むという行動と矛盾しているように思われるからです。

警告メッセージを文字通りに受け取り、Server 2025 のプレビュー版が、一般公開バージョンで利用可能になる機能を反映していると仮定すると、App-V は少なくとも Server 2025 の最初のリリースまでは機能としてOSに搭載されますが、Microsoft による公式サポートは 2026 年で終了するため、その後は「利用できるがサポート外」という扱いになります。

この場合どのようなリスクがあるのでしょうか。既存の App-V 顧客で、Microsoft からサポートを受けようとした場合、製品に関するリソースが限られているため、適切なサポートを見つけるのにすでに苦労している可能性があります。

App-V のフルスタックインフラ は、ここ何年も意味のある更新がありません。実際、約10年にわたって App-V データベースのセットアップスクリプトにはバグがあり、サポートされている SQL のバージョンは過去に何度かサポート終了になりかけました。App-V クライアントは、たとえサポートが終了していても、今後数年間はサポート対象のWindows バージョンに含まれる予定です。

ただし、App-V クライアントがOSに含まれなくなった場合には、今後リリースされる ADKにApp-V シーケンサーの新バージョンは含まれないはずです。とはいえ、App-V クライアントやシーケンサーに関する問題のサポートは、以前から十分とは言えませんでした。

最大のリスクは、将来の OS アップデートやConfiguration Manager、Intuneのアップデートによって、App-V クライアントが機能しなくなったり、 App-V アプリケーションの展開と実行ができなくなったりする可能性があることです。Microsoftは、2026 年 4 月以降のサポート終了を表明しているため、この問題を修正する義務はありません。

また、サポート終了後に App-V アプリケーションを移行しようとして問題が発生しても、サポートチームを通じて対応してもらうこともできません。

今すぐ App-V の最適化を計画しましょう

App-V のゴッドファーザーであるティム・マンガン氏は、2023年10 月にユトレヒトで開催された AppManagEvent の参加者に対し、サポート終了の警告を真剣に受け止め、代替案の検討と移行計画の開始を強く呼びかけました。移行方法によっては、プロジェクトの完了に 18 カ月以上かかる可能性があるからです。つまり、今すぐにでもプロジェクト計画を立てる必要があるということです。

最後に、App-V への愛と感謝をお伝えしたいと思います。一部の企業ではアプリケーションのシーケンス化に苦労していましたが、この技術 の習得に時間と労力を費やした経験から、アプリケーションの分離、動的なアプリケーション更新、アプリケーション更新の効率化、そしてWindowsアプリケーションをSaaS(Software as a Service)としてユーザーのデスクトップやスタートメニューに直接配信することのメリットを長年提唱してきました。
App-V は EUC(End User Computing)分野の基盤となると期待されていましたが、十分に普及しきれなかったことは残念です。

しかし、急速に変化する IT 環境において、失われたものを惜しむよりも、次に向かうべき道を探ることが重要です。既存のApp-Vをご利用のすべてのお客様には、サポート終了に受けた選択肢の検討を開始し、アプリケーション管理の最適化に向けた成功基準を検討することをお勧めします。

これには、アプリケーションの動的な配信の継続、アプリケーションレベルでのデスクトップセキュリティの強化、アプリケーションのパッケージ化とパッチ適用の自動化、サービスデスクを悩ませる一般的なアプリケーション問題の解消、そしてあらゆる Windows デスクトップ(現在のオンプレミスのデスクトップ、将来のAzure Virtual Desktop、あるいはその両方のハイブリッドオプションなど)にアプリケーションを配信する柔軟性が含まれます。
自社にとって何が最も重要かを整理し、移行の選択肢を評価し、具体的な移行計画を確定させていくことが必要でしょう。

これらの目標は、既存の App-V 投資を活かしながらも実現可能です。Cloudpager プラットフォームは、App-V パッケージを自動的に Cloudpaging アプリケーション・コンテナ形式に変換し、互換性・性能・可視性を大幅に向上させます。

従来 App-V ではパッケージ化できなかったアプリも Cloudpaging で実行可能です。Waterman 社をはじめとするお客様は、98%以上のアプリケーションパッケージ化に成功し、DevOps機能を通じて最新の Windows デスクトップ管理を実現しています。

Cloudpaging は App-V と同様の分離機能を提供しつつ、統合や分離の範囲をより細かく制御できます。これにより、他アプリケーション、プラグイン、ドライバ、COM+サービスとの互換性と相互運用性を大幅に高められます。さらに、App-V の接続グループを使わずとも依存関係を適切に管理でき、仮想レジストリの複雑な設定も不要です。Office アドインなどのプラグイン仮想化も、シンプルな手順で可能になります。

製品についてより詳しく知りたい方は、下記より是非お問合せください。
https://www.tomorrow-net.co.jp/contact/

本ブログは下記の英語ブログの抄訳です
https://www.numecent.com/2024/03/05/app-v-inclusion-in-windows-server-2025/

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この記事を書いた人

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