【現地レポート Part3】ASRock、Western Digital、Inventec、Seagate、MiTACの技術最前線— COMPUTEX 2025 3日目レポート
2025年5月20日から23日まで、台北・南港展覧館で開催された「COMPUTEX 2025」。AI、ストレージ、サーバーソリューションに強みを持つ主要企業が一堂に会し、次世代のインフラ、クラウド、コンシューマ製品の展望を提示しました。
本レポートでは、Western Digital、Seagate、MiTAC など、インフラ系の技術を牽引する5社の展示内容を中心に、それぞれの最新技術や注目製品を現地からお届けします。(Part1はこちらから、Part2はこちらから)
目次
Western Digital:AI×ストレージの時代に向けた構造改革

Western Digital は、生成AIとディスアグリゲーテッド・ストレージ(Disaggregated Storage)時代に対応した「RapidFlex™」プラットフォームを発表しました。主な展示は以下の通りです。
- Ultrastar DC HC680(28TB CMR)
大容量化を追求した信頼性重視のエンタープライズ向けHDD。 - RapidFlex EBOF with Ingrasys
複数GPUノードと低レイテンシで接続可能なEBOF(Ethernet Bunch of Flash)構成。 - OpenFlex オープンエコシステム
ソフトウェア定義ストレージ(SDS)と既存サーバ群を統合する柔軟なプラットフォーム。
これらは AI/HPC 分野にとどまらず、放送・医療など他業種への展開も視野に入れているとのことでした。
Seagate:Mozaic 3+とヘリウム技術の進化

Seagateは、今後10年を見据えた新しいフラッグシップ技術「Mozaic 3+」プラットフォームを正式発表。最大30TB超の大容量ディスクを実現し、大規模データセンターのTCO削減を目指しています。
注目の技術・製品は以下の通り
- Exos X24シリーズ
CMR方式を採用し、信頼性とパフォーマンスを両立。 - HAMR(Heat-Assisted Magnetic Recording)技術
記録密度を従来比で50%以上向上させる次世代磁気記録技術。 - サステナビリティ対応設計
電力効率、振動耐性、リサイクル性を重視し、環境への配慮も徹底。
Seagateは、脱炭素社会への移行におけるストレージベンダーの責任を強く意識した展示構成を行っていました。
MiTAC:NVIDIA MGX対応「G4527G6」でAI市場を狙う
MiTACは、NVIDIAの新アーキテクチャ「MGX」に対応するスケールアウト型AIサーバー「G4527G6」を出展。以下のような特徴が強調されていました。
- 次世代SuperNICサポート
IOボトルネックを解消し、データ転送の高速化を実現。 - 高密度ラック設計
最大10Uの構成でも冷却性とアクセス性を確保。 - OCP準拠の拡張性
柔軟な構成変更が可能なモジュール式シャーシ。
このサーバーは、AI/HPCクラスタはもちろん、クラウド基盤としても高い適応性を持ち、複数ノードによる分散学習にも最適です。
まとめ:クラウドからエッジまで、AIとストレージの未来像が集約
今回の COMPUTEX では、単なる製品スペックの競争ではなく、エコシステム全体を設計できる企業が存在感を放つ時代が到来したことを実感させられました。
- エッジAIとクラウドAIの融合提案(例:Inventec)
- 高密度とサステナビリティの両立(例:Seagate、MiTAC)
- ストレージとネットワークの一体設計(例:Western Digital)
今後は、ハードウェア単体の性能ではなく、「プラットフォームとしての完成度と持続可能性」こそが選定基準になることを、各社の展示が物語っていました。
3回にわたりましたCOMPTEXの展示会レポートもこちらで終了となります。
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